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satvik Inc.佐藤真紀子のインド植物のお話

第1話・トゥルシ
tulsi(Tulasi (Ocimum sanctum Linn.) 和名カミメボウキ

木と神様を結婚させるって、ナニ???クリシュナ神を祭るインド代表的なハーブ

トゥルシ(ホーリーバジル) トゥルシーは普通緑だが、いくつかの種類があり、これは薬効が一番強いとされるクリュシナ・トゥルシー(黒いのでクリュシナの名がつけられている)




花嫁を向かえに着た白馬に乗ったターバンの花婿 花嫁を白馬に乗って迎えに行くターバンの花婿
木と神様を結婚させるって、ナニ???

象にのって楽隊を引き連れ、花嫁の元へ向かうターバンを巻いた新郎さん。そんな光景を町で見かけるようになったら、インドの結婚式シーズンのはじまりです。


インドの各地で見られるお供え用の花屋 町中の花屋さんでは、プージャ(儀式)に使うためにトウルシーが山積みで売られている。純粋性が高く、浄化に役立つ聖なる植物とされて、儀式には欠かせない。

インドの結婚式はとにかく派手!何日も続くパーティに、親戚一同が何枚もの着替えのサリーをもって集まります。(花嫁だけでなく、列席者も何度もお色直しをするのです!)
ごちそうあり、音楽あり、ダンスあり!吉日ともなると、町のあちこちで大音響のパーティが夜通し行われて...睡眠不足〜〜〜(@@)になることも、シバシバ。


でも、そんな人間様の結婚式シーズンがくる前に、大事な儀式がひとつあります。
それは各家にある、トゥルシーの木とクリュシナ神を結婚させることなんです。
木と神様を結婚させるって、ナニ??? って、思うでしょう?


朝トゥルシーの葉を一枚たべると風邪をひかない、病気をしない

トゥルシーは、1年性の草ですが、大きく茂るので、ちょっとした低木のようになる草です。インドでは、どこの家でもベランダに1本くらいはこの木を育てていて、神聖な木としてあがめますし、薬草として、家族の健康にも役立てています。


ヴィシュヌ神とラクシュミー神 クリシュナの化身ヴィシュヌとラクシュミー

朝、トゥルシーの葉を一枚たべると風邪をひかない、病気をしない、というので、ハチミツをつけたトゥルシーの葉を子供の口の中に押し込んでやるのはお父さんの役目。 抗菌作用が強く、発汗、解毒作用をはじめとして、長いリストが出来るほど、多くの薬効があるトゥルシーは、生のままで食べる、絞り汁を飲むのが一番効果的。長く煎じると香りや薬効が薄れてしまうので、お茶にする時にも、コップの中にいれた葉っぱや、葉の粉にお湯を注ぐ程度にしていただきます。
これ一本あれば、周囲の空気を浄化し、精神的な霊性も高めるということで、どこの家でも大事に鉢植えが育てられています。(注:ただしラットによる実験では生殖能力が落ちるという結果も。Indian J Physiol Pharmacol. 1992 Apr;36(2):109-11.)
大量に食べ過ぎるとピッタをあげてしまうので、1枚で充分。神話では、トゥルシーの葉っぱ1枚で、クリュシナ神の重さと釣り合うほどだと書かれているので,とりすぎないこと)


トゥルシーを神様と結婚させてから、人間の結婚シーズンをはじめる

牛糞で作られたトゥルシーの祭壇 牛糞で作った祭壇に祀られているトウルシーの木。根元をクムクムで赤く塗り、毎日灯明や線香が捧げられ、礼拝の対象になっている。

特に、クリュシナ神が大好きな木なので、クリュシナ神の化身であるヴイシュヌ神の妻ラクシュミーに見立てて花嫁衣装をつけさせ、神様と結婚させてから、人間の結婚シーズンをはじめるのです。


木の根元には、既婚者の印である赤いクムクム(色粉)でお化粧し、綿で作った軽い首飾りをかけ、木に負担にならない程度の、軽くて小さなガラスのバングル(腕輪)をつけさせます。


神様用に飾られるバングル 緑の輪がバングル。手前が小さな神様用に供えるもの

腕輪屋さんに行くと、こんなに小さな腕輪は、いったい誰がするんだろう?というくらい小さな軽い腕輪が隅の方で売られていますが、それはこの木のための腕輪なのです。


その昔、大家族で一緒に住んでいたインドでは、ひとつ屋根の下に、軽く20〜30人、多ければ100人近い人達が一緒に暮らしていました。
そんな中で新婚の夫と二人だけで過ごすのは至難の業。そこで、花嫁は家事をしながら、他の人にはそれと気づかれないように、ガラスの腕輪をシャラシャラと鳴らして、二人だけにわかる秘密の合図を送り、こっそり裏の井戸べりで逢瀬を楽しんだりしたわけです。
だから、花嫁に腕輪はつきもの。

トゥルシーの木が風にゆれて、ガラスのバングルがシャラシャラ音をたてています。 愛するクリュシナをよんでいるのかな....  

    
 



 
 

satvik inc. Satvik Inc.佐藤真紀子プロフィール
1962年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、欧州・中東などの滞在を経て、ニュースステーション、サンデーモーニングなどの報道番組に参画。

1998年、師匠であるDr,Sadananda Prabhakar Sardeshmukh博士に出会う。以来数千名の診療に立ち会い臨床経験を重ねる。

日本アーユルヴェーダスクール専門科コース、大阪アーユルヴェーダ研究所薬理学コース卒業。現在も毎年インド各地の病院での研修を続けている。

アーユルヴェーダをとりいれている医療機関、ハタイクリニックでセラピストとして治療にあたる一方、アーユルヴェーダ専門の通訳として会議、セミナーでも活躍。日本アーユルヴェーダ学会の学会誌「シャーンティ・マールガ」の編集長も勤める。
佐藤真紀子